Windows98 インストール方法



シリアルナンバーの自動入力


Windows98をインストールする方は、そのCD媒体を持っているはずです。それをISOなどのイメージファイルにして使っている人も多いと思います。 仮想の便利さがわかって来ると、媒体は何かあった時のバックアップで、普段はイメージファイルを使うようになります。 その時に問題になるのが、シリアルナンバーです。環境構築より先に、入力を自動化する方法についてお話し致します。

2018年現在、パソコン本体にフロッピーディスク装置がついているものは皆無と言ってよく、フロッピーを物理ドライブとして使おうと思ったら、USBタイプの装置を接続することになります。 それに対して、CD装置(DVD・Blu-ray含む)は、極端な軽量化を図ったノートパソコンなどを除けば、多くのマシンに標準装備されています。

こうした事情の差なのだと思いますが、Neko Projectに限らずWindows上で動くエミュレータの多くは、フロッピーはイメージファイルのみの対応となっていますが、CDはイメージファイルと物理ドライブの両方に対応しています。 そのため、フロッピーはイメージファイル化が必須なのに対し、CDは媒体のままでも使えます。 しかし、仮想環境とそれを構築するために必要なソースをなるべく近くにまとめて置いておきたいと考えたら、CDもイメージファイル化しておいた方が何かと便利です。 こうすることにより仮想化が一歩進み、必要なソースを効率よく探すことが可能になりますし、インストール作業の処理時間の短縮にも繋がります。 将来的に(かなり遠い将来ですが)、パソコン本体から物理CDドライブがなくなってしまっても困らずに済みます。

ここでひとつ問題になるのは、シリアルナンバーの管理です。 CD媒体にはシリアルナンバーが書かれたシールなどが貼られていますので、インストール時にはそれを見ながら入力できますが、イメージファイル化した場合には、 シリアルナンバーをテキストファイル化したものをセットで保管しておく必要があります。 これをしないとシリアルナンバーの確認のために媒体がどこに行ったか探す羽目になり、仮想化したメリットがなくなってしまいます。

拡張子ISOのCDイメージファイルと、シリアルナンバーを書いたテキストファイルの2つを同じフォルダに入れておけばこの問題は解決されると思いますが、 ここで、ちょっと便利な小技を紹介しておきます。

以下の内容で「MSBATCH.INF」というファイル名で保存し、SETUPプログラムがあるフォルダに置きます。 "xxxxx"の部分は、当然あなたがお持ちのCDに書かれている番号となります。
[setup]
ProductKey="xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxxx"                 
このファイルをISO内部に含むことによってインストール時の入力画面にプロダクトキーの内容が自動的にセットされるので、インストール時に一文字ずつ入力する手間が省けます。 OSのインストールという作業は、そんなに頻繁に行うものではないでしょうから、入力の自動化自体はそれほど便利に感じないかも知れませんが、 シリアルナンバーがCDイメージと一体になり1ファイルで完結するので管理が楽になるというメリットは充分実感できると思います。 実は私、こういう「かゆいところに手が届く」的な機能というのは、何かとても好きなんです。






完全なソフトウェアエミュレーション


上記の画面イメージからもわかる通り、Windows98ではインストール時に残り時間の目安が表示され、作業が進むごとにこの数字が小さくなっていきます。 実際に作業にかかる時間はマシンの性能によっても変わって来ますので「あくまで目安」でしかありませんが、実際に何度かインストール作業を行ってみて感じたことは、エミュレータによる処理速度の差です。 厳密に計測した訳ではありませんが、VirtualBOXなどのDOS/V機のエミュレータでは画面に表示された推定時間より早く実作業が終了するのに対し、Neko Projectではこの数字以上に時間がかかるようです。

ここで問題となるのは、エミュレータが完全なソフトウェアエミュレーションをしているかどうか、ということです。 通常の利用時には、エミュレータの内部事情までは意識する必要はないと思いますが、時々目にしたり、意識せざるを得なかったりすることがあります。 DOS/V機でDOS/V機以外をエミュレートする場合はソフトウェアエミュレーションしか方法はありません。 ところが、DOS/V機でDOS/V機をエミュレートする場合は高速化のためにそうしないことがままあります。

処理速度の差はソフトウェアエミュレーションかどうかだと思いますが(未確認)、この処理速度の差は大した問題ではないと目を瞑ることにして、 もっと重要なことは、仮想環境の中で仮想マシンソフトが動くかどうかということです。
完全なソフトウェアエミュレーションをしているエミュレータで作った環境は、現在使用している環境が仮想マシン上でしか使えなくなった時にもそのまま活かせる可能性が高いと考えています。 そうでないエミュレータは、今使っているホストOSが使えなくなった時に、後継のOSでもそのエミュレータが動作するかどうかを確認しなければなりません。

こうして、せっかく作った環境が将来使えなくなる日が来るのかどうか、今の私にはわかりませんが、 過去のOSが起動する環境をひと通り揃えたので「これでおしまい」とは思わずに、今後の動向も絶えず注視していく姿勢を持ち続けて行こうと思います。



前置きが長くなりましたが、それではインストールを実践しましょう


インストール作業自体は、Windows95とほとんど差がありません。そちらを参考にWindows98環境を作成して見て下さい。 Windows98は無印の初期バージョンとセカンドエディションがありますが、セカンドエディションリリース後はそれ以前の「無印」を敢えて「ファーストエディション」と呼んで区別する人もいます。 セカンドエディションのリリースはバグフィックスが大きな目的です。 両方の環境を用意するならそれがベストですが、もしどちらか一方しか用意しないのであれば安定性が高いセカンドエディションをお勧めします。 ちなみに、これがPC-98で動作する最後のWin9x環境となります。

ハード環境は以下の通りとしました。
項目設定値
メモリ32.6MB
サウンドPC-9801-86
アクセラレータPC-9821Xe built-in





起動用FDイメージの作成


環境構築を終えたら是非やっておきたいのが「緊急用起動FDイメージの作成」です。 MS-DOS 6.2で同様のものを作成しましたが、Windows98ではFAT32が扱えるようになりますので、FAT16の2GBの壁がなくなるというメリットがあります。 詳しくはまた別のところで扱う予定ですが、Windows2000のインストール時にFAT32対応のこのディスクが役立ちます。

まずは、フロッピーディスクイメージの作成ですが、1.44MBフォーマットの「HD4」形式にします。 このファイルをWindows98が起動している状態でFDD1にマウントして下さい(これがBドライブになります)。
この状態でフロッピーの初期化を実行します。この時、必ず「起動専用」で初期化して下さい。

ちなみに、フロッピーディスクイメージを新規作成した状態ではゼロ埋め状態のファイルとなりますので、 一度「通常のフォーマット」で「システムファイルのコピー」を「しない」という設定で初期化する必要があり、それから再度「起動専用」で初期化するという手順を踏むことになります。 この辺りはフォーマッターが賢いかどうかによるのですが、少なくともWindows98のフロッピーディスクの初期化に関してはこうなります。 私は、そのような煩わしさを回避するため、「HDM」と「HD4」の初期化状態のファイルを予め用意しておき、メニューから新規作成を行う代わりに、初期化済みのファイルのコピーを作成して使うようにしています。 どんなエミュレータであれ、どんなOSであれ、こうすることで余計な手間が省略でき、不要なエラーを発生させないためのリスクヘッジにもなります。

Windows98環境では「A:\WINDOWS\COMMAND」にDOSコマンドが置かれています。 ところが、ここには必要なファイルが全ては揃っていないので、不足分はMS-DOS 6.2 ので作成したFDイメージから取得します。 コピー元が混在してしまいますが、インストール時に役立つ基本的なコマンドを含めて(私の場合は以下の通りです)フロッピーにコピーします。
目的ファイルコピー元
拡張メモリを
使用するために
 ・HIMEM.SYS  MS-DOS 6.2 FDイメージ 
 ・EMM386.EXE  MS-DOS 6.2 FDイメージ 
CDドライブを
使用するために
 ・NECCDA.SYS  MS-DOS 6.2 FDイメージ 
 ・NECCDB.SYS  MS-DOS 6.2 FDイメージ 
 ・NECCDC.SYS  MS-DOS 6.2 FDイメージ 
 ・NECCDD.SYS  MS-DOS 6.2 FDイメージ 
 ・MSCDEX.EXE  A:\WINDOWS\COMMAND 
その他  ・FDISK.EXE  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・FORMAT.COM  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・SYS.COM  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・DISKINIT.EXE  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・DISKCOPY.COM  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・XCOPY.EXE  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・XCOPY32.EXE  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・MEM.EXE  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・EDIT.COM  A:\WINDOWS\COMMAND 
 ・DOSKEY.COM  A:\WINDOWS\COMMAND 

CONFIG.SYS・AUTOEXEC.BATの内容はMS-DOS 6.2での緊急用起動FDイメージ作成のところで作ったものと全く同じでOKです。 NECCDx.SYSとMSCDEX.EXEのバージョンが異なって大丈夫かと心配になりますが、私が試した限り大丈夫でした。

これで、Windows98版「緊急用起動FDイメージ」の作成完了です。


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