Windows2000 インストール方法



FAT16の限界


Windows95・Windows98では、ハードディスクにMS-DOS 6.2の環境を構築して、そこから起動してインストールを行いました。 Windows2000になるとOSそのものがかなり肥大化してきて、必要なディスク容量は2GB(空き650MB以上)となっています。FAT16の場合、 1ドライブの最大容量は2GBとなりますが、FAT16の限界まで来てしまうため、クラスタギャップも大きくなり、扱えるファイル数にも制限が加わります。 私が試した限り、FAT16でもWindows2000のインストールは可能ですが、OSのみで半分以上のディスク容量を使われてしまいます。 OSの基本機能さえ使えればいいというのならこれでも事足りますが、この当時のアプリをいろいろと使いたいのであれば容量不足となりそうです。




回避策がいくつか考えられます。まずインストール時にNTFSに変換する選択肢がありますのでこれを行って見ましたが、インストール途中でエラーが発生します。


次に考えられるのは、もうひとつ別にディスクイメージを用意して、複数ドライブで環境を構築する方法です。 しかし、アプリとデータが別ドライブになるのはそれなりにメリットがありますが、アプリが複数ドライブに跨るというのはできれば避けたいところです。 そう考えると、2GBを2つ作るくらいなら4GBのディスクイメージを用意した方がいいように思えて来ます。

そこで、このOSではFAT32を使用することにします。 FAT32であれば、2Gの壁はなくなり、クラスタギャップも少なくなります。 そのためにはWindows95のOSR2以降が必要になりますが、Windows98のところでWindows98起動用FDイメージの作成方法を示しましたので、それを使ったインストール方法の例を示します。 インストール手順は本質的には変わりませんが、Windows98のディスクを使用するためフォーマットの方法が変わります。


FORMAT方法が変わった


PC-98シリーズで使用して来たMS-DOSのFORMATコマンドは、「領域の確保」・「確保した領域のフォーマット」という2つの作業をまとめて行います。 それに対して、DOS/V機ではFDISKとFORMATの2つのコマンドが用意されており、各作業を分担して行います。 私がPC-98からDOS/V機に変更した時、最初に戸惑ったのはこの変化でした。

最初は手探りで始めたFDISKコマンドを使った環境作りでしたが、いろいろ試していくうちに徐々にコツを掴み使いこなせるようになりました。 その時「何か不親切だな」と感じたのは、領域確保後に一度リセットしドライブレターを割り当て、そのドライブを指定してFORMATコマンドを実行しなければならない、という点でした。 手間がかかる上に更に2つの危険が潜んでいます。 ひとつは「フォーマット前にドライブにアクセスすると、媒体が挿入していないフロッピードライブにアクセスしたような状態になること」、もうひとつは「ドライブ指定を間違うと大事なデータが消えてしまうリスクがあること」です。

PC-98用のFORMATコマンドは、一度にまとめて作業を行うことで、このような危険を回避しています。 もちろん「誤って初期化してしまう」「誤って領域解放してしまう」など、ユーザのミスでデータを失うリスクを完全に無くすなど不可能ですが、 バージョンアップするごとに進化して使い勝手を極めたと言っていいPC-98用のFORMATコマンドに慣れて来た者にとっては大変な苦労でした。

その後、その考えを少し改める機会があったのは、1台のマシンに複数のOS環境を作った時です。 このハードディスク全体を、どのOSにどれだけ割り当てるか、それをどう配置するか、などを決めて各OSのインストール作業をする場合に、領域の確保と確保した領域のフォーマットは分かれている方が合理的と思えるようになったのです。 インストールするのがWindows系のOSのみならまだしも、Linux系など文化の違うOSと共存したい場合、特に強くそれを感じました

ユーザにとっての使い易さ・安全性を重視したPC-98、自己責任だけど合理的でダイバシティーを追求したDOS/V機、フォーマットコマンドひとつとっても、日米の思想や文化の違いが色濃く反映されているようで、 これだけでも論文が書けそうなくらい興味深いテーマですが(書きませんよ)、深い視野を持って比較してみると、こういった発見がまだまだあるのかも知れません。

Windows95以降は、PC-98もFDISKコマンドへと変わっていきます。 ここでもひとつ、日本の独自文化が国際化の波に飲まれてしまったのだなと、夜空の星を見ながら世の中の変化を憂えている私なのでした(絶対ウソだよな)。



では、実際にインストールして見ましょう


以下の状態でマシンを起動します。
・FDD1 Windows 98起動ディスク
・IDE#0 Neko Projectで作成した4GB HDDイメージ

(1) OSが起動したらFDISK.EXEを実行し、以下の通り領域の確保を行います。
  大容量ディスクのサポートを使用可能にしますか (Y/N) にYを選択
  1. MS-DOS 領域を作成 を選択
  MS-DOS 領域に使用できる最大サイズを割り当てますか (Y/N) にYを選択
  ESCで元の画面に戻る
  2. 状態を変更 を選択
  変更したい領域の番号を入力してください...............? に1を選択
  1.アクティブ / 2.スリープ.............................? に1を選択
  システム名を入力してください...........? に[Windows2000 ]を入力
  1.BOOT可 / 2.BOOT不可.................................? に1を選択
  ESCで元の画面に戻る
  ESCでFDISK.EXEを終了
(2) 一旦再起動します。
(3) 確保した領域の初期化を行います。 「FORMAT C: /S」
  フォーマットしますか (Y/N)? にYを選択
  ボリュームラベルを入力してください. に対して任意の文字を入力(省略可)
(4) COMMMAND.COM以外のファイルもハードディスクにコピーします。 「COPY A:\*.* C:」
  COMMAND.COMの上書きは「しない(N)」を選択します。
(5) FDDをイジェクトして再起動します。
(6) QドライブにWindows2000セットアップCDをセットしてNEC98フォルダのWINNT.EXEを実行します。

ハード環境は以下の通りとしました。
項目設定値
メモリ120.6MB
サウンドMATE-X CPM
アクセラレータPC-9821 PCI CL-GD5445 built-in
その他 Always use 16bit I/O port addressingにチェックを入れる
Skip over 16MB memcheckにチェックを入れる
PCI OPTIONを有効にする
以上でWindows2000のインストールが実施されます。

DOS/V機版のWindows2000のセットアップCDはブータブルCDのため、ブートすれば勝手にインストールが始まります。 しかしPC-98版は手動でのインストールとなります。 この時のコマンドがSETUP.EXEではなくWINNT.EXEであることを初めて知りました。 実機では使ったことのないOSのインストールは、大変な部分もありますし、勉強になる場合もあります。
さて、インストール手順中、一旦ハードディスクへのコピーが終わって再起動を求められる時に エラー画面が表示されます が、これは無視して問題ないみたいです。



インストールにはかなりの時間がかかります。 その間ボーっと待ってたらチコちゃんに叱られますので(笑)、他の作業をしながらバックグラウンドで実行することになります。 インストール後のイメージからわかるように、Windows2000ではハードディスクから起動してもOSがCドライブとなります。 もともとDOS/V機用に作られたOSをPC-98用に移植して来た訳ですが、Windwos95以降、こうやって徐々にDOS/V機に近づいて行ったんだなと実感します。 そしてこのOSを最後に、NECもDOS/V機に一本化したのです。

画面のプロパティを変更すれば、1280×1024の解像度で使えます。 現在の私のマシン(解像度1920×1080)ではタスクバーを非表示にしないと全画面が表示し切れません(苦笑)。 奇遇ですが、ちょうどこの日(12月19日)の深夜、ネット申し込みの割引キャンペーンが最終日だったので、4K対応のパソコンの発注を行いました。 仮想マシンソフトを頻繁に使っているとメモリ8GBでは不足することがしばしば起きますし(今度のマシンは32GBです)、 1600×1200まで使えるゲストOSが、ホストOSの都合でサイズを抑えることを余儀なくされたり、ホストマシンのパワー不足が深刻な状況でした。 商品到着までには1〜2か月かかるそうですが、これらの状況が劇的に改善されることになるのが今から楽しみで仕方ありません。


実機で使った経験があるかないか


OSのインストールが完了したところでSP4を入れて、OFFICE2000とそのSP3を入れます。 ここまでは順調だったのですが、VisualStudio6のインストールをしようとするとCOM関連のエラーが発生して出来ません。 VisualStudio97とかで試しても同様のエラーとなります。 実機で使った経験があればエミュレータの問題であろうと判断できるのですが、それが無いため、エミュレータの問題なのか、そもそもPC-98ではVisualStudioが動作しないのか、私には判断ができません。

下の画像は、Neko ProjectではなくVirtualBOXでのWindows2000ですが、OS + OFFICE + VisualStudio + ファイラ + エディタで3GBを超えています。 2GBでは足りないであろうという私の予測は間違っていないのですが、残念ながら使いたい全てのアプリがインストールできるということではありませんでした(泣)。



VirtualBOXでは10GBの領域を取っていますが、こちらはディスク容量のサイズをどれだけにするかをあまり気にしなくていい理由があります。 VHDファイルは、固定長と可変長が選択できるようになっていて、可変長を選択すれば、実際のVHDファイルサイズは、未使用部分は除いて実際に使用しているサイズになり、全体容量がいくつかはほとんど関係ありません。 なので先々のことを考慮し多少余裕を持って大き目に指定しておけばいいことになります。 それに対し固定長は、使用・未使用に関係なく全体の容量がファイルサイズになりますので、無駄に大きなサイズを指定すると空き容量分がホストOSのディスク容量を圧迫することになります。 利用したいOSの数が増え、各OSでいくつものスナップショットを取るとなると、その無駄は決して看過できない大きさとなります。 そのため私は、VirtualBOXでは常に可変長を使うようにしています。

Neko Projectでは現状、可変長ファイルの作成は出来るけどHarddiskとして割り当てることができないという、何とも中途医半端な状態です。 現状での不満は可変長割り当て不可とスナップショット機能がないことです。 スナップショット機能は手動でのバックアップ等の工夫で代用するとして、いつか可変長のVHDファイルに対応して頂けたらと切に願っています。



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