J-3100



いわゆる「目が合ってしまった」ってやつ


なぜこんなレアなマシンのOSを保持しているのか、まずはそこからお話し致します。

1990年代の半ば、秋葉原のジャンク売り場に足繁く通いました。 ジャンク品のメインはハードですが、たまにソフト(媒体)もあったりしました。 動作保証はないのですが、私の記憶では、動作しないものはほとんどなかった気がします。 マニュアル付きはちょっと値段が高めでしたが、フロッピーのみがぞんざいな扱いで売られているモノは、 需要の高さにも依りますがタダ同然のものもありました。私はここでかなりのOS・アプリを揃えたと思います。

この頃、Windows3.1が広まり出し、日本国内では圧倒的なシェアを誇っていたNECのPC-9801・9821に少し陰りが見え始めました。 OSが多国の文字をサポートしてくれれば、ハード的に日本語を扱うマシンでなくてもいいのでは、という風潮になって来たからです。 私自身もPC-98ユーザーであり、しかもNEC関連の仕事をしていたので、他人事ではありません。 慣れ親しんだPC-98を使い続けたいという願望は持ちながらも、OSがこれから益々ハイスペックを求めて行くことを思うと、 好みより価格による選択になるのかも、ということも考えていました。 今振り返れば、もうこの頃には、PC-98とDOS/V機を併用するのか、DOS/V機に乗り換えるのか、 朧気ながらそんな未来も描いていて、結果的にそれがそのまま現実化したのでした。

パソコン雑誌の特集には「もうDOS/V機でいいんじゃないの」とか「C言語で作るPC-98とDOS/V機の判定プログラム」とか 「DOSプログラムを多機種で動かす方法」などの文字が躍っていました。 私のPC-98用のプログラムも、機種の判定処理を加えてDOS/V機などでも動かすように手を加えるかも知れないということを 何となく思いながら、漠然とそんな記事を読んで他の機種についても知識を付け始めました。 なので、東芝のJ-3100という機種が存在することは、知識として持っていましたが、実機を見たこともなく よくわかっていなかったというのが実情です。と言うか、今でもわかっていませんが(苦笑)。

そんなタイミングで、いつものジャンク売り場に行くと、J-3100のDOS5(FD3枚組)が、ジャンク品で売られていました。 いわゆる「目が合ってしまった」ってやつです。 実機がないので、これだけ所持していても意味がないことはわかっていましたが、安かったのと、 将来何かに使えるのではという淡い期待で、無謀ではあるのですが、買うことにしました。

FDのイメージ化は簡単です。MS-DOS標準の2HCなのでPC-98で扱うことができます。 本体が5インチ2ドライブ、外付けで3.5インチ2ドライブのパソコンを持っていましたし、ディスクBIOSを知り尽くしていましたので、 FDイメージ作成もオンラインソフトなどには頼らず自作ツールでできる、最強の環境と技術を持っていました。プチ自慢です(笑)。

※拙作「DUT.EXE」。自作ツールについては、別途紹介致します。


四半世紀の眠りから覚めることができるのか?


2025年某日、別件で昔作った大量のFDイメージから捜し物をしていた時、J-3100用のDOSを発見しました。 再び「目が合ってしまった」のです。あの時、「もしかしたら将来何かに使えるかも」と思って保管してきましたが、 全く使われることはありませんでした。もっとも、これが使える・使えないがそんなに重要なことではないのですのが、 四半世紀以上眠ったままの状態で何もしていないというのが、何か勿体ないと言うか悔しい気持ちがするのです。

これを何とか活かすことはできないか、エミュレータが充実した現在なら可能かも知れません。 そこで、J-3100のエミュレータがないか探してみました。唯一見つかったのが、これでした。 takedaさんという、とんでもないほど多くの種類のエミュレータを作っている方のサイトです。

もう10年以上放置されています。レアなマシンなので情報不足で難航しているのか、 それほど重要性がないのでやめたのか、私にはわかりませんが、何とも残念です。

ただもうひとつ、DOSBoxの派生版でJ-3100にも対応しているものがあるという情報も得たので、こちらを試してみました。 この「DOSVAXJ3」というアプリ、使い方は意外とシンプルで、 「dosboxj.conf」という定義ファイルを編集して「dosboxj.exe」を実行するだけです。 machine = XXXX の記述でDOS/V・AX・J-3100のモードが選べます。今回は当然「dcga」を設定します。 あとは、「imgmount」でディスクイメージをドライブをマウントし「boot -l x」で起動ドライブを指定します。
[dosbox]
machine       = dcga
#               dcga  #J-3100モード
#               dosv  #DOS/Vモード
#               jega  #AXモード

[autoexec]
imgmount C V:\エミュレータ\J-3100\DATA\32M_HD.img -t hdd  
imgmount A V:\エミュレータ\J-3100\DATA\1.IMG -t floppy    
#imgmount A V:\エミュレータ\J-3100\DATA\2.IMG -t floppy   
#imgmount A V:\エミュレータ\J-3100\DATA\3.IMG -t floppy   

boot -l A
インストール画面が起動し、パラメータの設定を行った後、ファイルのコピーが行われます。 1枚目のFDから2枚目に変更して下さいというところで、とんでもないことに気がつきます。 多分、私の知識不足だろうとは思いますが、FDイメージの交換ができず、あろうことか、ここから先に進めません。
FDイメージを外部から上書きして、「Ctrl + F4」で「マウントされたドライブのキャッシュ情報を更新」 と言う方法が使えるのかと思いましたが、「dosboxj.exe」がイメージファイルをロックしていて出来ません(泣)。 1枚目のファイルの解凍(EXPAND)が完了という中途半端な状態で終わってますが、 インストーラなんて所詮、EXPANDしてDOSディレクトリに置いているだけなのではないかと思うので、 残り2・3枚目のEXPANDを手動で行って配置してやることにしました。

こういう場合に、内部でコマンドを実行するのは面倒なので、ちょっとしたテクを紹介します。 先ほどのtakedaさんの作品で「MSDOS」というコマンドがあります。 これで、FD#1のEXPAND.EXEを64bitOS用に変換できます。16bitのEXEを実行すると、通常は

のようになります。 これを回避するために実行モジュールの変換が必要なのですが、「i386_x64」にある「msdos.exe」を使い、 「msdos -c EXPAND.EXE」と実行すると「new_exec_file.exe」が作成されます。 こちらをEXPAND.EXEに上書きするもよし、EXPAND64.EXEなどとして別ファイルで保存するもよし、 この実行モジュールなら64bitOSでそのまま実行できます。 これで何とかなると思ったら、最後にもうひとヤマありました。
「EX_」「CO_」「HL_」「IN_」など最後のアンダーバーが何に置き換わるのか容易に想像できるものはいいのですが、 「RG_」「VI_」って何でしょう?と、悩んでいたら、 「SETUP.INI」に解凍後のファイル名の一覧があるのを知り、これで何とかなりました。
紆余曲折ありましたが、これで一応、DOSが起動しました、やれやれ。
多分、もっとまともな方法があるはずです。ご存じの方、教えて下さい。


今後の世の中の変化に期待するしかないかも


もうひとつ、「じぇいさん」というコマンドがあるようです。DOS/V機で「J3.COM」を実行すればJ-3100モードになるとのことです。 では、FD#1のAUTOEXEC.BATの「SETUP.EXE」の前に「J3.COM」を入れてVirtualBOXで起動すればいけるのではないか、と思い試しましたが、 結果はこの通り。IO.SYS・MSDOS.SYS自体がDOS/V機では使えないみたいです。


これ以上は、どなたかがJ-3100のエミュレータを作ってくれるのを待つしかなさそうです。
何とも他力本願ですが、致し方ないと言ったところです。

今回はグタグタのまま終わりと致します。


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